【テーマ】
『地域スポーツが子どもたちの未来を変える』
【趣旨】
地域スポーツはこれまで、子どもから高齢者に至る誰もが日常的にスポーツを親しむことができる環境を提供し、スポーツによる精神的充足感や楽しさ、喜びをもたらし、心身の健全な発達を促すとともに、人、情報、地域の交流による地域コミュニティの活性化に大きな役割を果たしてきた。
しかし、新型コロナウィルス感染症の蔓延により日常的にスポーツを楽しむことができなくなり、特に子どもたちがスポーツ等で仲間と協力して挑戦する機会が奪われた。
アフターコロナという新しい時代を迎えるにあたり、地域のプロスポーツチームとともに地域の子どもたちが夢や希望を描ける持続可能な地域を創るために意見を交わし合えたらと考える。
【鼎談者】
福島レッドホープス代表取締役兼監督
岩村 明憲 様
福島ファイヤーボンズ代表取締役社長
西田 創 様
郡山青年会議所 理事長
芝田 銀平
特別鼎談全文
芝田銀平理事長(以下、芝田) : 本日はシーズン中お忙しいなかにもかかわらず、本鼎談にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。
早速ではありますが、本日は「地域スポーツが子どもたちの未来を変える」というテーマの基、アフターコロナという新しい時代を迎えるにあたり、地域のプロスポーツチームと共に日常的にスポーツにいそしむ場を創造し、地域の子どもたちが夢や希望を描ける持続可能な地域をつくるために、過去・現在・未来の時系列で意見を交わしていただければと考えております。
まず、簡単な自己紹介をお願いできればと思います。岩村様よりお願いします。
福島レッドホープス代表取締役兼監督 岩村 明憲 様(以下、岩村) : 本日はよろしくお願いします。福島レッドホープスの岩村です。
創設から9年、前経営者から引継ぎ後、新たなチームと共に5年目を迎えて、野球でこの福島県を盛り上げようという志のもと活動しております。本日はよろしくお願いします。
芝田 : ありがとうございました。続きまして、西田様よろしくお願いします。
福島ファイヤーボンズ代表取締役社長 西田 創 様 (以下、西田):福島ファイヤーボンズの西田です。本日はよろしくお願いします。自己紹介ということなので、私のことを少しお話しさせていただくと、出身は福岡県福岡市でして、幼少期からずっとラグビーをしておりました。
大学に上京するタイミングで故郷を離れ、ラグビーを引退後に指導者をしていたのですが、ご縁があって福島ファイヤーボンズの経営に携わったのが3年前でした。
2021年の5月から代表に就任しまして、社長としては2シーズン目を戦っている状況です。バスケットボールで福島を元気にしていきたいという想いで活動させていただいております。本日はよろしくお願いします。
芝田 : 改めて、本日はよろしくお願いします。私からも軽く自己紹介をさせていただきます。私は公益社団法人郡山青年会議所の本年度理事長の職を預かっております、芝田銀平と申します。私たち郡山青年会議所の事を軽くお話をさせていただきたいと思います。
我々郡山青年会議所は、明るい豊かな社会の実現を目的に、文化、経済、青少年問題といった様々な角度からまちづくり、人づくりに取り組んでおります。行政や市民の方々と共に、各種事業を行ってまいりました。メンバーは20歳から40歳までのメンバーにて構成されておりまして、会員は40歳で卒業となります。現在の会員数は62名でして、様々な年齢や業種の会員が日々事業を行っております。
本日はよろしくお願いします。
地域におけるこれまでの取り組み
芝田 : さて、まずは過去ということで、地域におけるこれまでの取り組みについて、お話しいただきたいと思います。まずは、岩村様よろしくお願いします。
岩村 : そうですね。自分と福島県との繋がりに震災がありまして、自分もメジャーから戻ってきた年が2011年楽天イーグルスに在籍した年でした。
あの年に震災を経験していなければ、おそらく今はないと思っていますが、震災をきっかけに、宮城にいた自分から福島県がどういう現状なのかを考えながら、現役を続けてまいりました。
現役のうちは、自分のプレーで被災された方々をとにかく元気にさせようという気持ち一つでやってきましたが、震災から3年が経ち、福島レッドホープスという前身のチームができて、知れば知るほど福島県の内情というものが、何とかしなければいけない状況であったと感じました。
実際に災害を経験してしまったり、後に風評被害を受けてしまった福島県内の方々がいたりということでより強く感じました。
私達の目的の一つとして、独立リーグで自分たちが他県に行った時に福島という地名を出し、その地域の方々に福島に対してより親しみを感じていただいてまた福島に遊びに来てもらうというものがありました。
もちろん県内の子どもたちのことも考えれば、外で遊べない時間が長過ぎたために、社会問題になっている子どもの肥満の問題であったり、何かスポーツをしてほしいという思いで、風評被害を含めて、今この時も過去に入ると思いますが、さらに強い気持ちをもって取り組んでます。
福島のために自分たちに何ができるかということ全てが答えではないと思いますが、日々その答えを模索しながら活動をしてきました。
芝田 : 2011年当時は私も被災したのですが、福島においてはまだまだ復興途上だと思いますので、今後とも復興のための支援をぜひ一緒に意識していければ幸いです。続きまして西田様よろしくお願いします。
西田 : はい。私も岩村さんとすごく重なる部分があって、ファイヤーボンズも震災をきっかけに立ち上がったバスケットボールチームです。
B.LEAGUEが全国に55クラブありますが、その中で震災をきっかけとして誕生したクラブはファイヤーボンズだけなんです。ですので、そこから生まれたプロクラブが地域の復興のシンボルとして町を盛り上げることによって地域が賑わっていく、復興していくという姿をイメージしながら、活動を続けてきました。
ファイヤーボンズを創ろうということが先に来たわけではなく、子どもの肥満という社会課題に向き合うために、室内競技であれば取り組んでいただきやすいということで、当時の運営母体である学校法人さんからの発案で体育館でのバスケットボールスクールを立ち上げました。
初めはボール遊びに近いレベルだったと聞いています。その翌年に、子どもたちの夢や希望となれるように立ち上がったのが福島ファイヤーボンズです。私達も今9シーズン目を戦っていて、来シーズンでちょうどリーグ参入から10周年になります。
6年前にユースチームを立ち上げ、スクール事業に加えて下部組織として子どもたちのチームを持って子どもたちの育成事業を始めました。
今年3月のB.LEAGUEの全国大会では、アンダー15の女子チームが全国優勝でき、一昨年には男子が銅メダルを獲得しました。
ファイヤーボンズのトップチームよりも先に全国の舞台で子どもたちが輝いた形になりましたが(笑)子どもたちに目を向けてしっかりと育成してきたことで、ユースチームが全国でも活躍できるようになりました。これはひとつの成果として積み重なってきたと考えています。
ユースチームは福島県の子ども達で構成されていますので、福島の子どもたちでも鍛えていくと、ここまで行けるんだと子どもたちもその親御さんも自信になったのではないかと思います。
また、浜通りで震災以降にできた楢葉町にある楢葉スカイアリーナという場所がありますが、このアリーナを使って公式戦を初めて開催しました。
そのアリーナを拠点に活動しているミニバス少年団は3人からのスタートでしたがそこにファイヤーボンズが指導連携させていただき活動を続けてきたことで、今では20人以上のチームになりました。
何もしなければ子ども達のコミュニティも継続できていたか分かりませんし、夢も潰えていたかもしれません。地道な活動ですがこのような直接的なアプローチを続けてきました。
芝田 : ありがとうございます。私たち郡山青年会議所も、主に小学生を中心に、子どもたちの思いやりや協力することの大切さを伝える事業を行ってまいりました。
特にキャンプ事業については、新型コロナウイルス感染症で中止になってしまいましたが長年にわたり取り組んでおりまして、市民にも広く認知されております。
スポーツについては、コロナ禍前の2019年に、スポーツと音楽を融合するをテーマにユニバーサルフェスティバルという事業を行い、元ラグビー日本代表の大野均氏をお呼びし、スポーツで人と人をつなげる素晴らしさをお話しいただきました。
また、2015年には元サッカー日本代表の城彰二氏をお呼びし、親子でサッカー教室を行うなど、様々なスポーツ事業を取り組んでおります。いずれの事業も体験して学ぶことを重視して事業を行ってまいりました。
コロナ禍における苦労
芝田 : 次に、2019年に新型コロナウイルス感染症がまん延してからのコロナ禍における苦労などについて、お聞かせいただければと思います。西田様、よろしくお願いします。
西田 : どのスポーツチームも苦労されたと思いますが、一番は集客です。B.LEAGUE全体としても収容制限というものがかかりましたので、すごくお客さまを呼びにくい状況になりました。
一人ひとりの体温測定や、離れて座っていただく等のルール上の制限がかかってしまったので、お客さまにもすごく煩わしい形になってしまったのかなと思います。
来場者数の減少はやはり一番インパクトがありましたね。
また、私達の活動にはスポンサー様のご協力が必要不可欠になりますが、中にはコロナで苦しいから継続が難しいという企業様もありました。
私が経営に携わるようになった年に、30社ほどスポンサーから離脱されたことを覚えています。お客様のメンタル的にも、スポーツってわざわざ現地に行かなくてもいいよねというようなスポーツ離れのマインドが浸透してしまったことも大きかったと思います。
芝田 : 集客については私達も平常通りに開催できる事業など一つとしてなく、大変苦労した記憶がございました。続きまして岩村様、よろしくお願いします。
岩村 : そうですね。同じような問題で悩まされたこともありますし、このチームの存続をさせるために、何とかはいつくばって経営をしていく中で、いろんなことを考えながら取り組んできました。
私達は、とにかく無観客でもいいからやろうというところに至った経緯があります。
無観客の状態で野球をしていく中で、リーグ全体の取り組みでYouTube放送をしっかりとしたコンテンツの一つにしてやっていきましょうということが決まりました。もちろんファイヤーボンズさん同様にスポンサーの厳しい反応を見た時に、なかなかお願いはできないんですけれども、会社としても大きく出ていかなきゃいけないところもあったんです。
あの時、私達は体育館ではなくて外の球技だからというところが利点であったりはしましたが、一度無観客で試合をしてしまうと、制限を解いてもなかなかお客さまが戻ってきてくれなかったのが現実としてありました。
ようやくファンの方々含め、県民の方々のフットワークも軽くなって、少しずつ球場に足が向くようにはなってきたとは思いますが、この3年間での印象がまだまだ拭い去れてないと自分自身は受け止めています。
なので集客に関しては、どのスポーツ団体においても同じような悩みがあるのではないかなと思っております。
芝田 : 私たち郡山青年会議所も人を集める事業を中心に行ってまいりましたので、非常に苦しかった事を覚えております。
今ならリモートで運動教室等を行えたかもしれませんが、当時はまだまだ一般的ではなく、思うように活動ができない時期が続いておりました。
また、小学生の相撲やサッカーの大会といった事業が軒並み中止となってしまい、
それを目標に頑張ってきた子どもたちが出場できないと思うと残念な気持ちになりました。そんな中、コロナ禍の2020年に感染症対策を行った上で親子でのサイクリング教室を行った時に、久々に屋外で子どもたちの笑顔が見れたことが、非常に嬉しかったことをよく覚えております。
新しい時代への取り組み
芝田 : それでは、次の質問にいきたいと思います。
コロナ禍を経て、アフターコロナという新しい時代に、本年度どのような取り組みを行っていくのかお聞かせいただきたいと思います。岩村様よろしくお願いします。
岩村 : そうですね。突然大きな花火を打ち上げるいうのは正直難しいですが、何か大きなことをやらないと今まで通りだと思います。
僕自身の考えでは、復興というものは人それぞれの価値観による基準があると思うんです。
どこまで来たら復興なのか、これで復興できたのか、完全に復興してるって言えるのかっていうのは、おそらく人それぞれ違うと思います。
なので、コロナ禍においてもアフターコロナになった今も、新たにいろんなスポーツ事業を通じて地域を活性化させ地域創生へ繋げていく答えがなかなか見つからないところでその価値観を押し付けることもできないですし、色々な価値観を共有しながらやっていかなければいけないのが現状だということを感じております。
コロナ禍でスポンサー収入のほうも減ってきている中で、大きなイベントの資金源がないという実情ですが、やらない訳にいかないといったところで、改めて自分が色々な方々とプライベートも共にしながら、新たな花火を打ち上げられたらいいなと思っております。
そのためには郡山の方々を含め福島県民の皆様のご協力がなければ絶対成し得ないことだと思いますし、福島県民の方々のためにやってるのであれば、共存共栄という言葉をモットーに、これからも活動していきたいと思っております。
芝田 : 続いて西田様、いかがでしょうか。
西田 : はい。先ほどYouTube配信というお話がありましたが、コロナ禍でバスケ界でも映像配信が充実したりTwitter、Instagram、TikTok等のメディアコンテンツを充実させる事に注力してきました。
しかし、逆行するようですが、私はそういうものが整ってきたからこそ、「リアルの接点」というところをとにかく大切にしていきたいと思っています。
子どもたちは選手とリアルで触れ合うことで目をキラキラ輝かせてくれます。私自身ももっと地域に出向いていきたいと思いますし、街中の広告を増やしているのも、実際に目に触れる場所にいかにファイヤーボンズの露出をするかに拘っているからです。
子どもたちも新型コロナ感染症でリアルの経験が失われてきたと思いますのでこれからも積極的にイベント開催や出演協力などさせていただきたいと思っております。
芝田 : コロナ禍の3年間は多くの子どもたちが仲間と協力して挑戦する機会が奪われてしまいましたので、私達もチームスポーツに携わっているお2人のお力やお知恵をお借りしまして、スポーツという体験を通して仲間と協力することの大切さを伝えていきたいと考えております。
子供たちの夢
芝田 : 次に、子どもたちの未来ついてお話していただきたいと思います。
子どもたちが夢や希望を描ける持続可能な地域について、子どもたちにどのように成長してほしいのか、お聞かせいただければと思います。西田様、よろしくお願いします。
西田 : すごく難しい質問ですが、自分の夢や目標に早く出会い、とにかく邁進して欲しいと思います。
昨今AIが急激に発達していますよね。それにより知識レベルが均一化するだけでなく、これまで大切とされていた課題解決能力すらもAIが補完してくれる現実がきていると思います。
そうなってきた時にどこで個人の差がつくのか。
私は「やり切る力」という部分だと思います。知識は得られる、課題解決の提案までAIがしてくれる、ただ、答えが分かっていても、それをやり切れるかどうかというところは個々の意思と習慣によるものなので、必ず差がつきます。
ですので、子どもたちにはとことんやりぬくという意味で、邁進して欲しいと思います。
「知ってる」と「できる」は違いますし、「できる」と「続ける」は更に違います。岩村さんもまさに努力を積み上げて世界のトップを獲られた方です。
こういうことを子ども達に感じていただきながら、積み上げること、努力していくことの大切さが伝われば嬉しいです。
芝田 : 続きまして岩村様、いかがでしょうか。
岩村 : そうですね。純粋に子どもたちには子どもらしさを取り戻してほしいなっていうのは、まず一つあるんです。
でも、その子どもらしさってどこだと言われても、今の子どもたちはなかなか理解するのが難しいかもしれません。
外で遊ぶことも含めて、なにか自分がやりたいことを一生懸命必死になってやり続けると西田さんもおっしゃられましたけど、続けることや継続させることって何でもいいと思うんです。それは勉強もしかり、遊びもしかり。
ただ、やり続けることでいいと思うし、一つのことに没頭するということってすごく大事なことだと僕は思ってます。何でもいいのでいろんな趣味をもつのも大事だし、直近で言うと、野球界ではWBCという大きな大会がありました。
大谷選手や多くの選手たちの活躍の根底にあるものは、あの選手たちの幼少時代にどういうことをやっていたかという部分にあると思うんです。大谷選手は同じ東北の出身だということもありますから、身近に感じてもらいながら福島の子どもたちもあんな風にスター選手になれる可能性は決してゼロではないと感じてほしいです。野球界の中だけじゃなくて、夢の話ではなく良い意味での勘違いをして、自分ももしかしたらできるんじゃないかっていう可能性を信じて、可能性がある限りなにか一つのことに没頭してほしいなと思います。
さらに言うと、根本的に必要なものは、もっと周りの大人が子どもらしさを発揮できる環境を作ってあげる必要があるのではないかと思っています。
芝田 : 環境を作るという点で私たちは、郡山で多くの子どもたちに、様々な選択肢をもって欲しいと考えております。プロ野球選手、プロバスケットボール選手、さまざまな将来の選択肢、可能性をもてる地域にしたいと考えて運動しております。
そしてもう一つ、本年はカーボンニュートラルの推進に力を入れようと考えております。
こちらも考え方は同じでございまして、カーボンニュートラルを推進することによって再生エネルギーといった新たな産業の創出につなげ、子どもたちが多くの選択肢を選べる地域にしたいと考え事業を行ってまいります。
夢そして郡山の未来
芝田 : 次に、前の話と重なる部分もありますけれども、それぞれが地域で実現したい夢、郡山の未来についてお聞かせいただければと思います。岩村様、よろしくお願いします。
岩村 : そうですね。現在、直近の目標というのは、コロナ禍前の状態に戻ることが最低限に必要なことだと思うんです。まずそこに戻ってからじゃないと何も言えないと思います。
ただ、あまり過去にすがりついても駄目だとも思っているので、コロナ禍前とコロナ禍で得られた考え方を同時進行させながら、新たなことにも取り組んでいこうという考えはあります。
地域と地域の子どもたちのためにという部分は、我々のBCリーグの理念の中にあります。
地域がいかに豊かになっていくか、野球という娯楽を復活させスポーツを観戦することで日頃のストレスを解消していただいて、その地域が活気づくということにつなげていくことが出来ればと考えています。
同時に、その地域の子どもたちの夢や目標を、より叶いやすくしてあげる環境を整えてあげる。
もちろんユースチームしかり、ジュニアのチームしかり、野球教室であったりなどの活動をしながら、我々は本懐であるシーズンも戦っていきたいと思っています。
現状、郡山の方々の生の声を聞きながら今何が必要かっていうものを取り入れて、活動をしている最中でもあります。以上です。
芝田 : ありがとうございます。続きまして西田様、よろしくお願いします。
西田 : 郡山は音楽のまち、楽都郡山って言われてますけれど、それを否定したいわけじゃないですが、先ほど芝田さんからもありましたが、これから先の少子高齢化問題が音楽だけで地域が復興していくかというとそれも相当難しいだろうと思います。
やはり楽都ということだけではない、新しい地域の魅力をスポーツの立場から創造していきたいと思っています。
市民から「郡山は音楽!」というイメージだけじゃなく、スポーツもあるんだと思っていただけるように私たちも頑張っていきたいと思ってます。
あとは、少子高齢化によって地方から加速度的に子どもの数が減ってますよね?僕らが子どもの時は、部活動っていろんなスポーツや競技が選べたと思いますが、より人口の少ない地域に行けば2つしか運動部がなくて全然やりたい競技じゃない。
でも、どちらかに強制で入らなくてはならないなどの問題も現実に起きています。
子どもの選択肢が減り、活躍の場が減っているということが社会問題化している昨今、日本のスポーツ協会の方でも部活動を民間とか地域にもう移行していきましょうといった流れが起きています。
先ほど岩村さんからもありましたように、その流れの中で我々地域のプロスポーツクラブができることは、スポーツにおける子どもたちに指導をしていく場を提供していくといったことも大事なことだと思います。
あとは、シンボルパークとなっている開成山公園は今年から野球場、陸上競技場、体育館などの施設の改修工事が始まっていきます。
その改修工事が終わった後にそれらの施設の運営も民間に委託されますが、今まで市が管理してたものを民間が運営していく中で、部活動の受け皿や地域の受け皿となれるような運営の仕方ができていくんじゃないかなと思います。
施設が充実して立地も良い場所ですし、地域の子どもたちが開成山公園に来てくれればいろんな運動に親しめて、楽しめる経験ができます。
我々は体育館を使い、ホープスさんは野球場を使うということになると思いますが、地域に存在する我々プロスポーツチームがうまく連携しながら子どもたちの運動能力の開発や活性化に貢献することができたらいいなと思っています。
芝田 : 私たち郡山青年会議所の夢としても、伝統文化を守りながらも新しい産業が同居する、そんな地域になってほしいと考えております。
郡山は伝統文化に海老根和紙というものがございますけれども、ペーパーレス化、電子化が進んでいる現在においては、紙の需要というのはどんどん低下しております。
しかしながら、その中でも手書きで書く手紙の需要というのは、根強くあると思っております。
私たちは郡山を、そんな古きものと新しいものが同居する地域にしていきたいと思って考えます。
ニューヨークにセントラルパークというものがありますけれども、最先端のビジネス街の中に水と緑の豊かな自然がある。それこそが私たちが望む郡山の姿だと考えております。
子供のスポーツ離れ
芝田 : また、余談ではありますが青年会議所のメンバーから質問がありましたので是非質問をさせていただければと思います。
「自分の子供たちが新型コロナウイルス感染症の影響があり、外で遊ぶことができない日々が続く中でずっとゲームをやっています。スポーツに興味を持ってもらいたいと思って話をするんですが、あまり興味を示してくれません。そういった子どもたちに対してどのように接することでスポーツに興味を持ってもらえるのか、アドバイスをいただきたいです」とのことです。
この質問に対して何かお答えはありますでしょうか?
西田 : 今のゲーム、めちゃくちゃ面白いですよね。
ゲームの中でもコミュニティがあるみたいで、はまったら中々抜け出せないのはわかります。
私も同じ世代の子どもがいるのですが、ゲームではなく「とにかく一緒にやろう!」っていうスタンスで外に出るようにはしています。一緒にラグビーやキャッチボールをやるとか、それこそバスケをしたりいろんなことをやってますね。
一緒にやって楽しかったと言う積み重ねの先で「なんか好き」になったり、「ミニバス通ってみたい」となって始めてみたり、いろいろなきっかけを外に作ってモチベーションを高めていくような動きを僕の場合はしています。
芝田 : ありがとうございます。岩村様は何かありますでしょうか。
岩村 : そうですね。一緒にやることが一番いいとは思うんですが、中々その引っ張り出すっていう誘い出しが大変ですよね。
でも、野球の場合はバッティングセンターというものが身近にあるじゃないですか。そこに連れ出して実際に打ってもらったりしますね。
ただ、教育現場もすごく厳しいことができなくて、凄くぬるい感じになってしまいます。
それはそれでいいんですけど、やっぱり我々プロという立場で言うと、もちろん厳しくは言わなきゃいけない時も出てきます。やはり仕事ですから。
この福島県内、もちろん郡山にも日大東北高等学校という甲子園にもしっかり出ている高校がある中で、「一つのチームの目標として甲子園に出る!」だとか、幼少時代から「俺は甲子園に出たい」という夢があって、本気なのであれば我々も本気で向き合わなければならない時もあります。
ですが今、女の子たちも野球をやりたいって子が本当に多いので、女子野球の方も結構盛んになってきてますし、そこは男女問わずとにかく機会を提供してやらせてみるということは必要だと思います。
実際にバットを持たせて打たせてみたり、ボール持って投げてみたりして、後はその楽しさを本人がどう感じるかだけなのかなって思います。
ですが、盛んになってきているとはいえ、現状として世界的に野球人口の減少はずっと言われています。この中の一つの原因が、やっぱりテレビ各局で放送されなくなったことが一番大きな原因にあって、そこで一気に野球離れというものが始まったと感じています。
わざわざBSやCSをつけてまで見ないというのが一般の家庭では多いとは思います。お父さん、お母さん、どちらかが野球好きであればテレビで野球を見るケースもありますけど、やっぱり昔に比べると少なくなったと感じます。
親が野球を見る機会が無くなっていると考えれば野球人口の減少は必然ですよね。
ゲームがあるのであれば、スポーツのゲームをやってそこでまずルールを覚えてもらう。
僕が野球ゲームのいいなと思うところは、野球もルールを覚えるのがすごく大変なんで、そのゲームの中でルールを覚えられるというところですね。
ゲームで覚えたルールを持ち寄って、外で実際に自分たちがバットとボールを持ってプレーをするというところまで行きつけばいいなって思います。
芝田 : ありがとうございました。四月になり年度が変わりまして、学校でマスクの着用については個人の考えに任せますといった状況になり、子供たちが外に遊びに行くようになりました。それはいいことだなと思っておりまして。
ただ、興味を持ってくれるかどうかわからない段階でも、行動を起こさなければ子どもたちは慣れ親しんだゲームをしてしまうと思われますので、そういったスポーツ設備へ連れて行って、少しでも興味を持たせるようなことをしていければと思います。
岩村 : あとは実際にファイヤーボンズさんの試合も含め、スポーツの生の試合を見せてあげるっていうのはすごく選手たちを身近に感じやすくなって良いと思います。
我々レッドホープスに関しては、試合が終わったら来場者の皆様をお見送りしています。
もちろん私も一緒に。
並んで試合後に球場の外に選手が並んで、そこで子どもたちと一緒に写真を撮ったりサインを書いたりなどの交流をしていますので、そこでまたいろいろと感じてくれればもしかしたら自分もやってみたいという行動に移るかもしれないです。
芝田 : きっかけが今までなくてどうしても家の中に閉じこもりがちでしたし、長い休みの時でも、買い物へ行く時ぐらいしか外に出ない、出れない日々に慣れてしまった現状を私も感じております。
これから暑くなる季節になると思いますが、ぜひ試合を観戦、応援へ行かせていただければと思います。
岩村 : 生の試合はいいですよ。
西田 : ほんとに違うと思います。
芝田 : はい、ありがとうございます。
未来(さき)へ
芝田 : 予定よりも少々お時間も残っておりますし、もしよろしければこれからの展望でしたり、PR等それぞれありましたら、ぜひお話しいただければと思います。まずは西田様からお願いします。
西田 : ファイヤーボンズは、もうリーグ戦が残り4試合というところまで来ていて今シーズンが終わりかけています(2023年4月13日現在)。
今は3位につけてるのでプレーオフ進出ラインにはいるんですが、残り4試合でまだ予断を許さないという状況です。
今週、来週と試合に勝てばプレーオフというB2の優勝決定戦に進むことができ、プレーオフで上位1チームになれればB1へ昇格できるというすごくチャンスがある状況です。
B1昇格を掴めるように最後までしっかりと戦いたいです。
芝田 : 続いて岩村様よろしくお願いします。
岩村 : 我々はちょうど明日(2023年4月13日現在)もソフトバンクのファームチームとの試合が開成山スタジアムであります。
我々のシーズンはまだまだ始まったばかりではあるんですが、アメリカの4大スポーツは開催時期がうまく分かれていて、このスポーツが終われば次のスポーツが始まるといったところが良いところでもあります。
今、メジャーも始まりましたが、ちょうどNBAが最終盤を迎えていて、日本国民やアメリカ国民の方々の目が向きやすくなっていると思います。
ちょうどファイヤーボンズさんがあと4試合ということで、シーズンが終わった後は熱い想いを持った方々の目や意識を、今度は野球に向けていただいて、また野球が終われば郡山で言えばバスケットの方に目を向けていただく。
そうすれば、バスケットではブースター、野球ではファンと言いますけれども、郡山市民が年間を通して応援したいと思えるような球団づくりを、他のスポーツチームと切磋琢磨して行っていかなければならないと思います。
ファンとブースターは間違いなく共存共栄の関係にありますので、そこは共に地元を盛り上げるためにやっていきたいなと思っております。
あと、個人的というかチーム的には、やはり2年間連続で最下位になっていますので、とにかく今年一番勝ちに飢えてる状態でシーズンに入っていて、とにかく一戦一戦、勝ちだけにこだわって戦っていきたいと思っています。
なので、明日の試合からも本当にたくさんのお客さんに来ていただきたいなという願望があります。
芝田:ありがとうございました。
メッセージ
芝田:岩村様は本日お伝えしたいメッセージをお持ちとのことでしたが、そちらについてはいかがでしょうか。
岩村 : JCの方々はOBの方々も含めて、たくさん僕もかわいがっていただいて、いろんな方々と交流をさせていただいているんですが、これだけの若手、20代から40歳までの方が集まって、地元・地域のために何かできることはないかと試行錯誤され、知恵を絞られてると思います。
その活動の中で野球でもバスケでも、こういうスポーツというツールを使っていただいた方がいいんじゃないかなって、僕はすごく思うんです。
地域全体を考えることも大事ですが、地域の問題を自分の子どものことと考えれば、その周りの子どものことも同じ共通認識として考えることができると思います。
そうなれば、地元の子どもたちを「じゃ、郡山体育館連れて行こうよ、開成山連れて行こうよ」って、どんどん巻き込んでいくこともできるんじゃないでしょうか。
冠をどうこうってわけじゃないんですけれども、JCの取り組みの中で、そういったものも一つ取り組んでみることもありなんじゃないかなと僕は思います。
他県でも、他のJCが球場に実際に来てあいさつをしていただいたということもありました。
お互いの目標が地域の子どもたちのためにと掲げて活動しているわけですから、バスケットボールは今シーズンが終わってしまいますが、来シーズン以降も郡山JCの方々が体育館に「こういうものやりましょう!」って見に行けばいいと思います。
郡山青年会議所62名とその家族を連れて、バスケットにしても野球にしても見に行けばいいと僕は思うんです。自分たちの子どもも、その周りの子どもたちも連れてどんどん巻き込んでいけばいいじゃないですか。友達も皆で。
我々レッドホープスに関しては、中学生以下は無料なので子どもたちをどんどん連れてきてもらって、スポーツを生で感じてもらう機会を作っていただければすごくいい体験ができると思います。
僕たちをそういう意味で利用してほしいと本当に思っています。
どんどん使って利用して下さい。本当にもったいないです。西田社長はどう思いますか?
西田 : 私も本当にそう思います。茨城県水戸市にバスケクラブがあるんですけど、そこも経済団体の例会を、その月は体育館の会議室を借りて15分だけ行って、終わったら家族も含め一緒にみんなで試合を見るなんてことをしていると聞いたことがあります。
そういうのはすごくいいなと感じますし、ほんとに仰っていただいたように地元や地域にプロがあれば使うに越したことはないと思います。ぜひご利用いただけたらと思います。
芝田 : ぜひ見に行かせていただきます。
岩村 ・ 西田 : よろしくお願いします。
西田 : 梅雨明けの6月とかいいんじゃないでしょうか。
岩村 : そうですね。ちょうどいい時期です。
西田 : 僕らまた10月から開幕していくんで。
岩村 : ちょうど私たちも巨人戦があったりします。巨人軍の3軍にはなるんですけれども、ジャイアンツっていうブランドもありますのでぜひ遊びに来てほしいです。今からでも全然遅くない。
芝田 : ありがとうございます。その時はぜひお願いします。
本日は鼎談という形でお時間をいただきましたが、今後もお互いに連携を取りながらより良い郡山を作っていきましょう。それでは鼎談を終了とさせていただきます。
本日は実りある鼎談となりました。誠にありがとうございました。
岩村 ・ 西田 : ありがとうございました。
(2023年4月13日鼎談)
【プロフィール】
岩村 明憲 様 プロフィール
愛媛県宇和島市出身。宇和島東高校時代2年生から全日本高校選抜の4番を務め、1996年ドラフト2位でヤクルトスワローズに入団。2006年は第1回WBCの日本代表に選出され、第1回大会優勝に尽力。2007年にタンパベイ・デビルレイズへ移籍、2009年も2大会連続でWBCの日本代表に選出され大会2連覇、その後パイレーツ、アスレチックスでプレーし、2011年に日本に復帰後は楽天、ヤクルトで活躍。2015年からBCリーグに新規参入の福島ホープスの選手兼任監督に就任。現在、2017年9月の引退試合をもって選手生活を終え、福島レッドホープス監督兼オーナーとして精力的に活動中。
西田 創 様 プロフィール
福岡県福岡市出身。東福岡高校時代に全国高校ラグビー準優勝、立教大学ではラグビー部主将を務め、同校初のトップリーグ選手となる。引退後にNECで官公庁業を2年間務めつつ、母校ラグビー部ヘッドコーチに就任。組織マネジメントへの課題感から識学に出会い転職。2020年福島ファイヤーボンズの運営に参画。翌年5月より代表取締役社長となり、スポーツの力で「誇れる福島」をつくるべく活動している。