公益社団法人郡山青年会議所
2023年度 理事長所信
第63代理事長 芝田 銀平

     
新型コロナウイルス感染症の影響により社会生活は大きく変化し、他者との距離を取り、対面でのコミュニケーションに多くの制限が必要になることを私たちは身をもって体験しました。社会に目を向けてもあらゆる産業で大きなダメージを負い、特にサービス業や飲食業、観光業においては壊滅的な被害が発生していることは周知のとおりです。また、これらの業種を中心として、社会全体がコロナ禍以前の経済状況に戻るには相当な時間を要すると言われています。様々な業種や年齢の会員が集う多様性のある私たちは、コロナ禍以降の現在の状況をネガティブに考えるのではなく、急速に変化する時代だからこそ力強く社会を牽引する組織へと進化しなければなりません。

郡山青年会議所はこれまで他の地域や産官学民間を繋ぐ地域の懸け橋として長い年月を積み重ね、その運動は常に未知の可能性を切り拓いてきました。時代の先駆者たる私たちは、アフターコロナという急速に変化する時代へ向けて、組織として進化し続けることが重要です。そして、組織が進化し続けるためには私たち個人も組織から提供される機会を最大限に活用することで自己成長を実現し、JAYCEEとしての誇りを胸に刻み、人としても組織としても高みを目指さなければなりません。今、私たちは青年経済人として明るい豊かな社会へ向けて躍進の一歩を踏み出します。

持続可能な組織へ

人口減少や時代の変遷、価値観の多様化など会員減少の理由は様々ですが、郡山青年会議所メンバーは年々減少の一途にあります。多くの企業で理念経営が注目されるようになり、組織全体において理念や目的の共有が重要視される現在においては、組織全体の理念や目的を共有したうえで常に変化する社会の価値観に私たちがアジャストしていくことが重要です。すなわち私たちの運動が郡山青年会議所の理念や目的に合致しているのかをメンバー一人ひとりが改めて考え、私たちの理想とする明るい豊かな社会を実現するために、私たちの強みと弱みを再認識する必要があります。私たちの強みは何か、変えなければならない弱みは何か。アフターコロナという新しい時代へ向けて持続可能な組織であり続けるために会員拡大活動を継続して行うとともに、組織における今までの常識や慣習を疑い見つめ直す必要があるのです。

想いが伝わる発信

インターネットやSNSといった情報発信ツールの進化によって、自分の考えや価値観に近い情報をAIが自動的にピックアップしてくれることが可能になりました。受け取り手にとって有益な情報と判断されなければ現代社会の膨大な情報のなかに埋もれてしまう一方で、「運動・活動を行うことで誰にどのような形で何を届けるか」といった理念や目的を常に重要視してきた私たちにとってはチャンスの時代でもあるのです。私たちは単に運動・活動内容を発信するのではなく、「どのような想いでどのようなメンバーが運動・活動を行うのか」、「この運動・活動を通してどのようにこのまちを変えたいのか」等、より深化した情報を多くの人々に伝える共感型の情報発信を行っていきます。そして、同じ理念や目的を持つパートナーとお互いの運動・活動を相互発信し、私たちの想いを人々に届け、共感していただくことでさらに多くの人々が有益な情報として伝播し、私たちの想いはより大きな共感の輪となり広がっていきます。

持続可能な郡山に向かって

2020年当時の内閣総理大臣所信表明演説において「2050年に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする」と宣言されたことを受け、脱炭素社会へ向けた流れは大きな潮流となって地方へと広がりを見せています。そういった流れのなかで郡山に目を向けますと、郡山は東北有数の経済都市である一方、少し郊外に出れば満天の星空の下蛍が飛び交う豊かな自然が残っています。私たちは未だ豊かな自然が残るこのまちを守り育てるためにこのまちに住まう産官学民のあらゆる組織と協働して、脱炭素社会へと歩みを進めていかなければなりません。私たちは脱炭素社会への第一歩を踏み出すためにも、これまで培ってきた地域間のネットワークを活用して市民や企業、地域社会を牽引する運動を積極的に起こし、このまちを持続可能な地域へと導いていきます。

夢や希望を描ける未来へ

地域の宝とは何でしょうか。人によってその答えは様々だと思いますが、いつの時代も一番の宝はその地域に住まう子どもたちであり、子どもたちの活気が地域を守り育てる明るい希望であることに疑いの余地はありません。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって子どもたちの活気を生み出す機会は激減してしまいました。特にスポーツ等での接触が極端に制限されてしまったことで、仲間と協力して目標に向かい挑戦できるような集団活動の場が極端に減り、また健康面においても基礎体力の低下といった不安を抱えています。これから迎える新しい時代に求められていることは、あらゆるパートナーと協働し、子どもたちがこの数年で失ってしまった、仲間たちとともに挑戦できる場を創造することです。仲間との絆を深め、心身ともに大きく自己成長を果たし自信をもってもらうことで、子どもたちは自身の未来に新たな可能性を見出し、夢や希望を描くことができます。子どもたちが夢や希望を描ける持続可能な地域を創っていくことこそが、私たちの使命なのです。

より必要とされる組織のために

郡山青年会議所は2013年に公益法人格を取得し、10年間という長きに亘り公益社団法人郡山青年会議所として歩みを進めてまいりました。青年会議所の三信条であるアウトプットたる「奉仕」とインプットたる「修練」、それを支える「友情」は三位一体であり、そのどれか一つだけでもバランスが崩れると機能しません。大きく社会活動が変化したコロナ禍以降に入会したメンバーが半数を占め、まちの問題が多岐に渡りより複雑化している現在においては、インプットが追いつかないままアウトプットを行っている状態になっています。そのためアウトプットとインプットのバランスが大きく崩れたまま運動・活動を行うことを余儀なくされているのです。私たちは大きく崩れたこのバランスを取り戻すために、より自己成長が可能となる組織変革を行っていきます。急速に変化するアフターコロナの時代だからこそ、メンバー一人ひとりが研鑽を積むことで問題意識を持つアクティブシチズンへと成長し、より地域に必要とされる組織へと進化する必要があるのです。

結びに

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は私たちの社会生活にも大きな変化をもたらし、変化した社会生活は決して元に戻ることはありません。コロナ禍により大きく変化した新しい時代において私たち青年は、かつて先輩方が荒廃した戦後の日本で「新日本の再建は我々青年の仕事である」と立ち上がったように、新しい流れを創る変革の時を迎えています。私たちはその流れを多くの人々に共感してもらえるような運動を起こし、より大きな潮流としていかなければなりません。子どもたちが夢や希望を描ける持続可能な郡山を創造する。美しい郡山の星空や田園風景をいつまでも守り続ける。責任世代として私たちは地域社会を牽引する存在となり、郡山を守り続けていきます。私たちが夢描く最高の未来へ向かって、ともに新しい時代に挑戦しましょう!